委託を受けた自動車用プラスティック部品成型・組立工場では、部品の組立を行う機械(株式会社カサイ製作所。以下、組立機械)ごとに生産数量などをA4用紙に一旦手書きで書き込んで、それを再度パソコンに打ち込み集計作業を行っていました。
また、生産数量や稼働時間、稼働状況は、組立機械に設置してあるタッチパネルやカウンタ上でしか確認ができず、しかも、組立機械は50台以上あり、必ずしも全台が稼動しているとは限らないため、稼働状況が把握しづらい状態にありました。
そこで、各組立機械の生産数量や稼働時間、稼働状況などを1箇所でモニタリングするシステムが必要となり、当社に開発依頼が来ました。

2022/2にデータ収集処理をWin10対応(.Net化)しました。
※フロント(画面)はVB6のままです。

動作環境

  • OS:Microsoft Windows 10
  • 言語:Microsoft VisualBasic6.0 + Visual Studio 2019 C#
  • DB:SQLServerExpress 2019
  • OCX:MX Component Ver4

機能概要

組立機械には三菱電機製のシーケンサCPU(QCPUシリーズ、ACPUシリーズ)が搭載されており、生産数量などのデータを保持しています。
それを、三菱電機製のミドルウェア(MX Component)を使用して、抽出し、画面に表示します。
※上記ミドルウェアを使用し、QCPUシリーズのほか、ACPUシリーズにも対応する予定。

取得したデータは一定間隔(30分ごと)にmdbファイルに保存します。
また、1日ごとにデータを保存したmdbファイルをバックアップしています。

システム開発上のポイント

モニタリングする機械数が増減しても設定ファイルに機器情報を追加することでプログラムを変更せずにデータ取得することが可能です。
【説明】生産数量等のデータ保持に、組立機械全台にシーケンサCPUが搭載されているため、同社のミドルウェアを使用したアクセスが可能です。そのため、モニタリングする組立機械の台数が増えても、同じ仕組みでデータを取得できるようにし、監視対象の組立機械を設定ファイルに記載することで、プログラムを変更することなくモニタリングを行えるよう、実装しました。(シーケンサCPUの型番が違っても、設定ファイルに指定することで組立機械へのアクセスパラメータを内部で切り替えるよう対応しました)

Excelマクロを使用し、設定ファイルを直接編集するのではなく、Excelのセル上に値を入力し、設定ファイルを生成します。
【説明】Windows標準の設定ファイル(Iniファイル)にて、組立機械の情報を定義することとしたが、ユーザが直接編集することは困難です。そこで、Excel上の項目を編集し、Excelマクロで設定ファイルに反映させる仕組みにしました。

結果として

  • 生産数量、稼働時間、稼動状況をモニタリングPC上から参照できるようになりました。
  • 生産数量のデータを日々、定刻での履歴保存を行えるようになりました。

今後の開発予定や拡張したい機能について

  • オンライン(LAN上)でモニタリングした生産数量の最新データを閲覧する仕組みの実現。
  • モニタリングする機械の追加。
  • モニタリング対象の全機械からデータを取得しているが、電源の入っていない機械についてはデータを取得しないよう、処理を変更。

画面サンプル

稼働状況表示画面

接続している部品組立機の稼働状況を表示します。
稼働状況は色分け表示(色の意味は画面上の凡例を参照)し、その下に機械の名称や、製造している製品の型番と名称を表示しています。

進捗状況表示画面

接続している部品組立機の進捗状況を表示します。
稼働状況のほか、生産数量や機械の稼働時間などを表示しています。

生産数量一覧画面

接続しているすべての部品組立機の生産数量を表示します。
進捗状況を一目で確認できるように一覧形式で表示しています。

名称変更設定画面

接続している部品組立機の機械名称や製品名称を設定します。
作業工程により、製品名称やステーション(作業工程のようなものです)の名称が変わるので、都度設定を変更できます。

設定ファイル生成

Windows標準の設定ファイル(Iniファイル)にて、組立機械の情報を定義することとしたが、ユーザが直接編集することは困難です。
そこで、Excel上の項目を編集し、Excelマクロで設定ファイルに反映させる仕組みにしました。